いつの間にか、人が集まって来た。それに加え、相手グループの仲間らしき男達も増え始める。
最初に飛び掛ってきた四人は、あっさり倒れてくれた。しかし、次から次へと敵が増えていくから切りがない。
ついでに、慣れない剣を無理に使っているために、体力も減っていく。こんな事なら、銃だけでも持って来るべきだった。
「どうした、もう疲れてきたのかあ?」
相手グループのリーダーが、ジンを見下すように笑う。
「まさか」
余裕だと微笑みを返したが、実は少し厳しい。
今の所、それほど多く体力を消費していない。しかし、あまり長引くと、さすがに危ないと思う。
早々に終わらせた方が良さそうだ。
「そうか、それじゃあ」
リーダーが合図をすると、控えていた男達がジンに向かって来た。ジンは鞘が付いたままの剣で、一人一人確実に倒していく。
なるべく急所を避け、それでも戦意がなくなるように力を込める。難なく倒れていく男達に、リーダーの表情が険しくなる。
「次行け!」
リーダーの怒声に、手下達が飛び出して来る。今度は今までの倍、十人が一斉にジンを取り囲んだ。
そろそろ、きついかもしれない。腕が重たくなってきた。
しかし、後にはまだ何人も控えている。
「っ!」
「あれー?」
考えている内に、持っていた剣が払い落とされる。
「急に弱くなったな」
相手は嬉しそうに笑い、持っていた鉄の棒を振り翳した。もう駄目か。そう思いかけた時だ。
ジンの前に、何かが割り込んだ。それは、ジンの代わりに鉄の棒を振り払い、ついでに振り下ろした相手も突飛ばした。
「無事か?」
振り向きざまに見えた、紺の瞳。この顔に見覚えがある。
「セイ? 何故お前がここにいる?」
セイは腰から剣と銃を選び、ジンに手渡した。
「忘れ物。部屋に置きっぱなしだったぞ」
二つを受け取り、刻まれた紋章を確認する。確かに、ジンの物だ。
「悪いな、助かった」
セイは答える代わりに、笑みを返した。
「何だ、テメェは」
突然登場したセイを、相手は不服そうに睨み付ける。しかし、こんな事に動じるセイではない。
「兄のピンチに、弟が出て来て何が悪い」
セイは堂々と言い放ち、剣を構えた。勿論、鞘に収まったままだ。
「面白そうだから、俺も参戦させてもらうよ」
そう言うセイに、リーダーの男が下品に笑う。
「一人増えた所で大して変わんないくせに」
そしてその顔から笑みが消えた時、男は転がった鉄の棒を手にした。
「俺は手加減しないよ」
‥NEXT‥
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